スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第四話☆表層から深層へ →無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第六話☆無常観
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
【無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第四話☆表層から深層へ】へ  【無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第六話☆無常観】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
   

Love,Sex&Death

無意識からのメッセージ☆Love , Sex & Death より☆第五話☆試練のとき

 ←無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第四話☆表層から深層へ →無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第六話☆無常観
you tubefreddy kempf - chopin, etude op. 10 no. 3



たとえ どのように 手を尽くしたとしても
あらん限りの財産を 全て なげうったとしても
どうすることも できない 究極的なことが ある。



ゴッホの木
ゴッホ:モーヴの思い出

それは私がようやく五歳にならんとする

桜が咲くには まだ少し早く 風に吹かれて海辺にたてば

うららかというよりは むしろ肌寒いくらいの初春のころ

父につれらていった病院の一室は暗く

右側のベッドに母が横たわり

反対側の壁際に細長い木の椅子があり

椅子の上には

なにか異質な雰囲気が漂う小さな箱が置かれているのだった。



幼さの残るわたしがふらふらと吸いつけられるような感じで

何かが入っている、その奇妙な木の箱に近づこうとすると

私の隣に立っていた若々しい父が 

ふいに ぎゅっと 強く私の小さな右手をにぎりしめた。




父の手が 少し震えていた。

その子は 小さな木の箱のなかで 眠っていた。

私はやわらかいタッチの不思議な静けさに

包まれているみたいで 少し眠かったけれど

目を閉じたままのその子は 一冬かけて 母が編んでいた

水色の毛糸のケープにくるまれていて・・・

かわいらしかった・・・



私は少しも怖くはなかったけれど

反射的に父の手をふりほどき

母のほうへと駆け寄ったのだけれども

いつもなら 私をやさしく抱っこしてくれるのに

ベッドの上の母は、布団で深く顔をかくすようにしていて

ぴくりともしないのだった。


私は座り心地の悪い硬い木のいすに座り足をぶらぶらさせていた。

なにか どうしようもない 事態が発生している。

gogh008.jpg


父は黙ったまま 席を移動し
 
父と私の間に置かれている小さな棺の上に

左手を乗せたまま、じっとその棺のなかを覗き込んでいて

それは まるで 棺を抱きしめているみたいだった。


棺と私の間に卵ボーロがあったので

私は木の箱に近づき 赤ちゃんの口のなかに

そっと 卵ボーロをいれてみた。

赤ちゃんは口をあけて食べたので、

一個づつ何個も入れてあげた。

やめろ!と

言われたけれども 

「赤ちゃんがかわいそうだもん。おなかすいてるもん。」

といいながら 卵ボーロを与え続けたので ついに卵ボーロは

あふれ出してしまい とても悲しくなって父のほうを見ると

父の目が真っ赤になっていた。



ドアがノックされて見知らぬおじいさんが入ってきた。

父は おじいさんに 小さな棺をわたした。

ドアがばたんと閉じられた瞬間、ふとんのなかで母が号泣した。



そのあと どんな風にして 一夜を過ごしたのかという記憶は

思い出そうとしても 霧のなかみたいに ぼやけているけれども

あの病室での一こま一こまは お気に入りの映画みたいに

何度でも 鮮明に思いだせるのだ。

モーヴ


生まれて30分しかこの世にいなかったけれど

だとしても、彼女がいたことは事実だ。

生まれた日が死んだ日だとしても、だ。

それからしばらくの間、母は泣いてばかりいたので、

「しっかりしなければいけない」と思いつつも

一晩に何度も おしっこをもらす五歳の私がいた。

母は一日のほとんどを 

一点を見つめるでもなくぼんやりとしてすごしていたので

そんな母と一日のほとんどを一緒にすごす私は恐らく 

たとえ母を追い詰め 逆上させたとしても

母の気を引こうとしたのであり

私はどこかしら、母の生きる意欲を

強制的に取り戻させる役割を

担わされていたのではないだろうか?

you tubeBEATLES "BIRTHDAY"



その後もう一度だけ 私が心のそこから 

腹ちがいでもよいから 兄弟姉妹がいてほしい、と思ったのは

それから十数年がたち ミツコたちのことも忘れかけていたような

ある年の初夏のことであり 父が急死した時だった。


2格子戸




私は その朝、

BFとのんびり、新大久保の喫茶店でモーニングを食べていた。

彼は慶応ボーイで 知り合ったころの彼は 

慶応大学の教授である小此木圭吾氏が 新宿駅西口の 

確か 通称三角ビルと呼ばれる三井ビルで開かれていた 

フロイド心理学のカルチャースクールに通っていて

私たちは 夢の記録に夢中であり 

寝てもさめても、無意識の研究に 没頭していたから

デートといえば みすず書房の本が充実している

東京中の本屋さんめぐりであり

彼は ヴィンズワンガー等のドイツ系の思想家にくわしく

ロマンティストで 涙もろいところがあり T・レックスが大好きで

そのころは 彼の部屋にいくと 

必ず往年のマーク・ヴォラン様の歌声が

時のすぎゆくことなぞ おかまいなしに 鳴り響くのだった。




天才は若死にするのだろうか・・・?

私の父は天才ではなかったけれども 死ぬにはまだ早く

しばらく離れて暮らしていたせいか 父死す!といわれても

全く実感がわかないのだった。とはいうものの

新幹線のなかで うなぎが大好きだった父をしのび

一人でうなぎ弁当を食べていたら

涙がじわっとこみ上げてくるのだった。

それでも 私は 
電車が名古屋に着く前に それを完食していた。

悲しくても たべようと 言い聞かすみたいに・・・

ただひたすら食べ続けた。


はす



「ママンが死んだ・・・」で始まるカミュの小説の冒頭の言葉が

何度も頭のなかをよぎっていく。そして 父との時間が 

時速200Kで走っていく新幹線からながめる景色みたいに

どんどん 現実が進む方向とは 逆に背後へ背後へと

過ぎ去っていくのだった。

夢ならさめてほしかった・・・それなのに

東京から私がかけつけたとき 父は すでに棺のなかに入れられて

階下の居間に寝かされていたのだった。

脳溢血で倒れてそのまま逝ってしまった父の顔には

内出血のあとがあり、どうにも 痛々しいのだった。

せめて もう一晩 布団の上で 寝かしてあげればよかった。

パパ、ごめんね。


それからの三日間は 多忙きわまりなく 

私は 早く葬式が終わってほしいと 願わずにはいられなかった。

けれども 葬式が終わり 親戚が一人去り、二人去り、

父とはすでに離婚していた母も 自分の部屋へと帰っていき

父のいなくなってしまった我が家で

とうとう、おばあちゃんと二人きりになってしまった瞬間

私は いいようのない心細さと寂しさに見舞われ 

明るくなるまで眠れず その夜をさかいにして 

初七日が過ぎても遺骨はおばあちゃんにあづけて

私は父の家には帰ることなく

しばらくの間 母のもとですごしたのだった。



その後、手続きに必要だといわれて自分の戸籍をとりよせると 

父は死んだから当然ちちの欄は、×印が打たれていたし

ははは生きているけれど父とはすでに離婚していたから

やはり母の欄にも×印が打たれていて

私は 戸籍上は全くの一人ぼっちになってしまったのであり

自分は ひく人がいなくなってしまったピアノ、みたいな気がした。

2ショパン




東京に戻ると 私あてに小包が一個届いていて

差出人の箇所をチェックすると 父の名前が書かれていた。

不条理な気持ちのまま荷物をあけると

そこには下着や梅干しといっしょに

母との離婚をわびる内容の父からの手紙が入っていて

「断腸の思いです」と 書かれていた。


私は一人っ子であり、喪主だったから

突然の兄の死に動揺をきたし、

人目をはばからず涙を流す、叔母や

最愛の長男をなくしたおばあちゃんや、

離婚して私とは戸籍上は他人になってしまった母の前では

気丈にふるまっていた私だったけれども、

アパートの部屋でだけは その手紙を抱きしめたまま

泣いていた。

そして私はその時、初めて声をあげて泣いたのだった。

そのうち 道を 歩くと 地面が ぐにゃぐにゃに感じられ

何故か アスファルトの地面が おびただしい量の人の頭で

できている、という幻覚が見え出し、私は 自分で自分に

離人症の発病を疑いだしていた。






関連記事
スポンサーサイト



もくじ   3kaku_s_L.png   Love,Sex&Death
【無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第四話☆表層から深層へ】へ  【無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第六話☆無常観】へ
   

~ Comment ~

交感儀 

はっきりとした音読はまだたしか3回。
もっとかもしれないが、そんなところ。
黙読は、何回か知れぬ。
ただ、やはり、音読がよい。
で、きちんと音読を続けよう。

読める…と、そう思った。 

一度、音読しました。

そうして、あと、少なくとも8回音読しようと思います。
そういう気になったし、
で、「交信儀」

場所未定、期日未定。
管理者のみ表示。 | 現在非公開コメント投稿不可です。
  • 【無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第四話☆表層から深層へ】へ
  • 【無意識からのメッセージ☆Love , Sex  & Death より☆第六話☆無常観】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。